窓は両方共擦り硝子だったが、一方の、机の前の窓はどうしたのか半開きになって、そこから陽の光りがまぶしいまでに、卓上いっぱい射し込んでいた。
橘は暫く部屋の中を見廻していたが、机の前の半ば開いた窓に近寄ると、そこからヒョイと首を出して窓の外を眺め、首を引くと、机の上の猟銃にじっと目を注いだ。
次に封筒を手に取って一瞥し、今度は洋服のポケットを捜って時計の鎖に附いた磁石を取り出し、その磁石を見ては又窓から首を出して空を眺めたり、じっと机の上を見詰たり、後を振り返って部屋の隅の寝台の方を見たり、そんな事を何遍か繰返していたが、その時、母屋の方から廊下伝いに惶しい人の足音が聞えて来た。