その峡谷に面した部屋は、一日に数分間(というのはちと大袈裟ですが)まあほんの瞬くひましか日がささぬので、自然借り手がつかず、殊に一番不便な五階などは、いつも空部屋になっていましたので、僕は暇なときには、カンヴァスと絵筆を持って、よくその空き部屋へ入り込んだものです。
そして、窓から覗く度毎に、向うの建物が、まるでこちらの写真の様に、よく似ていることを、不気味に思わないではいられませんでした。
何か恐ろしい出来事の前兆みたいに感じられたのです。
その峡谷に面した部屋は、一日に数分間(というのはちと大袈裟ですが)まあほんの瞬くひましか日がささぬので、自然借り手がつかず、殊に一番不便な五階などは、いつも空部屋になっていましたので、僕は暇なときには、カンヴァスと絵筆を持って、よくその空き部屋へ入り込んだものです。
そして、窓から覗く度毎に、向うの建物が、まるでこちらの写真の様に、よく似ていることを、不気味に思わないではいられませんでした。
何か恐ろしい出来事の前兆みたいに感じられたのです。