その人は初め事務所を借りに来た時から、何となく印象的な人物でした。
商人の癖に、どこか商人らしくない、陰気な、いつも何か考えている様な男でした。
この人はひょっとしたら、裏側の峡谷に面した、日のささぬ部屋を借りるかも知れないと思っていると、案の定、そこの五階の北の端の、一番人里離れた(ビルディングの中で、人里はおかしいですが、如何にも人里離れたという感じの部屋でした)一番陰気な、随って室料も一番廉い二部屋続きの室を選んだのです。
その人は初め事務所を借りに来た時から、何となく印象的な人物でした。
商人の癖に、どこか商人らしくない、陰気な、いつも何か考えている様な男でした。
この人はひょっとしたら、裏側の峡谷に面した、日のささぬ部屋を借りるかも知れないと思っていると、案の定、そこの五階の北の端の、一番人里離れた(ビルディングの中で、人里はおかしいですが、如何にも人里離れたという感じの部屋でした)一番陰気な、随って室料も一番廉い二部屋続きの室を選んだのです。