月に一度ずつ、珠子が兄を誘って、殿村京子をどこかへ案内して御馳走する慣わしになっていて、今夜はソロモン食堂が選ばれたのだ。
珠子はまだ女学生であったから、けばけばしい身なりを避けていたけれど、でも鶯色のドレスが美しい身体によく似合って、輝くばかりの美貌は人目を惹かないではいなかったし、兄の守も、同じ血筋の美青年で、金釦の制服姿も意気に見えたのに比べて、殿村京子だけは、服装も地味な銘仙か何かで、年輩も四十を越していたし、その上容貌は醜婦と云っても差支なかった。
額が広過ぎる程広くて、眉が薄く、平べったい鼻の下に、上唇が少しめくれ上って兎唇になっていた。