雨戸の外に障子もない荒屋なので、八畳程の部屋の向うの襖まで見通しであったが、隙間の幅が狭い為に、左右は限られた範囲しか見ることが出来なかった。
先ず目に入ったのは、裸蝋燭らしい赤茶けた光に、チロチロと照らされている正面の襖と、その表面一杯に映っている、巨人の様な人間の、鳥打帽子らしいものを冠って、眼鏡をかけている横顔であった。
それが焔のゆれるにつれて、伸びたり縮んだりしながら、異様に大きな唇を動かして、物を云っていた。
雨戸の外に障子もない荒屋なので、八畳程の部屋の向うの襖まで見通しであったが、隙間の幅が狭い為に、左右は限られた範囲しか見ることが出来なかった。
先ず目に入ったのは、裸蝋燭らしい赤茶けた光に、チロチロと照らされている正面の襖と、その表面一杯に映っている、巨人の様な人間の、鳥打帽子らしいものを冠って、眼鏡をかけている横顔であった。
それが焔のゆれるにつれて、伸びたり縮んだりしながら、異様に大きな唇を動かして、物を云っていた。