殿村夫人がいくら慰めても、珠子の脅えた心は静まらなかった。
今にも、今にも、あの暗い隅っこから、いやらしい毒虫が、ゾロゾロと這い出して来るのだと思うと、独り寝るのも恐ろしく、老女中の寝床を自分の部屋へ運ばせさえした。
谷中の事件があってから五日目の夕方のことであった。
殿村夫人がいくら慰めても、珠子の脅えた心は静まらなかった。
今にも、今にも、あの暗い隅っこから、いやらしい毒虫が、ゾロゾロと這い出して来るのだと思うと、独り寝るのも恐ろしく、老女中の寝床を自分の部屋へ運ばせさえした。
谷中の事件があってから五日目の夕方のことであった。