操一氏はそんなことを考えながら、気が落ちついて来るに随って、知らず識らずに、袂のシガレット・ケースをさぐっていたが、どこへ置き忘れたのか、袂には左右とも、それらしいものはなかった。
置き忘れたのではない。
そのシガレット・ケースは、さい前自動車へ乗る時に、偽の三笠探偵が素早く袂から抜き取って、自分のポケットへ納めてしまったのだが、まさか探偵がスリに早変りをしようなどと、誰が気づき得たであろう。
操一氏はそんなことを考えながら、気が落ちついて来るに随って、知らず識らずに、袂のシガレット・ケースをさぐっていたが、どこへ置き忘れたのか、袂には左右とも、それらしいものはなかった。
置き忘れたのではない。
そのシガレット・ケースは、さい前自動車へ乗る時に、偽の三笠探偵が素早く袂から抜き取って、自分のポケットへ納めてしまったのだが、まさか探偵がスリに早変りをしようなどと、誰が気づき得たであろう。