本来ならば、足元の見える程度に、薄暗い電燈がついているのだが、悪党達は態とそれを点火せず、ただチロチロ揺れる懐中電燈の光丈けをたよりに、竹藪のアーチをくぐって行くのだから、その不気味さは一入であった。
ある箇所では、足下にポッカリ口を開いた古井戸があって、その底に溺死人のドロドロにくずれた顔が浮いているかと思うと、ある箇所では、頭の上から、サッと風を切って、振り乱した白髪に藍色の顔、まん丸に飛び出した片眼、耳まで裂けた血みどろの口で、痩せさらぼうた老婆の幽霊が襲いかかる。
又ある箇所には、真赤な腰巻一枚の裸体の女人形が、藪の中から美しい顔でニタニタと笑いかけているのだ。