彼女を誘拐した偽探偵は悪魔の首領ではなく、真に恐るべき妖虫赤蠍の怪物は、もうちゃんと先廻りをして、さい前からこの藪蔭に、彼の美しい餌食を、今や遅しと待ち構えていたのである。
罠と罠
青眼鏡の現われた竹藪の根元に、芝居の小道具みたいな張りぼての青い岩が据えてあったが、彼はその岩に片足をかけ、身じろぎもせず、長い間、丁度餌食を狙う蛇の身のこなしで、こちらの隅の珠子を、じっと見つめていたが、ややあって、例の異様に嗄れた陰惨な声が、地の底からのように聞えて来た。
彼女を誘拐した偽探偵は悪魔の首領ではなく、真に恐るべき妖虫赤蠍の怪物は、もうちゃんと先廻りをして、さい前からこの藪蔭に、彼の美しい餌食を、今や遅しと待ち構えていたのである。
罠と罠
青眼鏡の現われた竹藪の根元に、芝居の小道具みたいな張りぼての青い岩が据えてあったが、彼はその岩に片足をかけ、身じろぎもせず、長い間、丁度餌食を狙う蛇の身のこなしで、こちらの隅の珠子を、じっと見つめていたが、ややあって、例の異様に嗄れた陰惨な声が、地の底からのように聞えて来た。