それが近づくのを待って、船頭が声をかけると、「人間の腕」という言葉に、ランチの人々は気色ばんで、船を近寄せ、ドカドカと伝馬船に乗移って来た。
船頭と違って、水上署の人達は、土左衛門なんかに驚きはしない。
二人のお巡りさんが、先を争う様にして、バケツに近づき、その指のついた白っぽいものを、最初はそれでも、少々無気味そうに、靴の先でチョイチョイ突いていたが、二人が目を見合せて、「こりゃ変だぞ、」という表情になったかと思うと、その一人が馬鹿に勇敢に、いきなりバケツの中へ手を突込むと、その生腕を、ヒョイと掴み上げた。