ある者は警察の無能を罵しり、東京中の私立探偵を総動員せよと論じた。
そうしている所へ、数日前同じ妖虫殺人団の為に、無残の最期をとげた珠子の父相川操一氏と、彼女の兄守青年とが連立ってやって来た。
前に記した通り、相川守青年は、彼の愛人である桜井品子さんの危難を救おうとして、却って賊の術中に陥り、麻酔薬に身の自由を奪われた上、恐ろしい赤蠍の衣裳に包まれて、早朝のオフィス街に捨てられていたのであるが、巡回警官の急報によって駈けつけた父操一氏に連れられて自宅に帰り、医師の介抱にやや元気を恢復した所へ、桜井家から、品子さんが誘拐されたとの電話を受けたのであった。