そして翌日午前には検事と警察部長の臨検があり、一方名古屋憲兵隊からは外事班員、鑑識班員等の臨検があり、曲者の死因は揮発性有機毒の皮下注射によるものと判定せられた。
即ち犯人は逮捕の危険が迫った場合はこれによって自決する覚悟をもって、日頃から毒物と小型注射器とを用意していたのである。
けだものの如き穴居人に、この科学的準備があったことは、一応意外の感じを与えたが、彼は決して無智蒙昧のけだものではなく、時限爆弾を極めて適確有効な箇所に設置した手際から察しても、見かけによらぬ頭脳を持った男であることは明かであった。