かようにして照空燈が新たなる敵機を捉えるごとに、偉大なる空の光の網目は、三重となり四重となり、おのおのその中心に四発大型敵機を激怒の白熱につつみながら、壮絶なる空の持ち送りをつづけて行った。
全都は今や敵の投弾と、味方の高射砲と、敵機味方機入り乱れての爆音と、名状しがたき大音響につつまれていた。
待避壕内に耳と目を圧えている都民にも、これらの恐るべき音波はひしひしと感じられ、爆弾による地響きは、大地震のごとく待避壕そのものを揺り動かし、怒濤にもてあそばれる小舟に乗っているのではないかと怪しまれるばかりであった。