午前四時二十分、ようやくにして敵機は去り、やがて空襲警報解除となったが、病院の混雑はその頃から更に一層激しさを加えたといってもよかった。
地下室の天井には爆撃によって大穴があき、コンクリートの破片、木片、砂埃などの散乱した中に、患者はベッドもなく、幕の上に毛布を敷いた応急の病床に、ところ狭く横わり、その枕元に附添人、看護婦などがうずくまるという有様、電燈線は切断され、天井の大穴からの明りを利用するか、それの出来ない場所はほの暗い蝋燭によって用を弁じている。
通路もなく押し並んだ患者の間を、ヒョコヒョコと飛ぶようにして、医員、看護婦が右往左往している。