少年たちは、長崎に着きますと、琴野君の親戚のお家に泊って、そこの小父さんの案内で、毎日市内を見物してあるきましたが、町には東京などでは見られない古い洋館や支那人の家がならんでいて、西洋人や支那人がたくさん歩いていますし、すぐ町つづきの港には、支那や台湾へ行く大きな汽船が毎日出入りしていますし、昔のオランダ屋敷の跡だとか、古い古いキリスト教の会堂だとか、支那人の建てた妙な形の寺院だとか、どれもこれも珍しいものばかりで、なんだか外国へでも来たような気持がするのでした。
さて三人が長崎へ着いて五日目のことです。
もう一とおり市内の見物をおわって、近いところならば、少年たち三人だけで遊びに行ってもいいというお許が出ていましたので、夕方から、子供ばかりで散歩に出たのですが、三人の足はいつとはなく、海岸の桟橋の方へ向いていました。