そこから先には、雪の上にポツポツと小さな穴があいているばかりで、ずっとむこうの大通りまで、人の足あとというものは一つもありませんし、といって、あとへもどった足あともないのです。
両がわには高い塀がつづいていて、塀ぎわまですきまなく雪がつもっているのですから、足あとを残さないで、どちらの塀へもたどりつくことはできません。
ですから、足あとだけを見ますと、この人は雪の上をそこまで歩いて来て、とつぜん鳥のように空へまい上ってしまったのか、それとも、体がとけて、蒸気のように空中に立ちのぼってしまったとしか考えられないのです。