筆入のふたの表と裏には、妙子ちゃんのらしい小さい指のあとが、たくさんついていましたが、それとは別に、すこし大きい指のあとがいくつか残っていたのです。
そして、ふたの裏がわに一ばんハッキリ残っていたのは、その生徒がふたをつかんだ時の、親指のあとにちがいないように思われたのです。
それで、一太郎君は、その筆入のふたを、妙子ちゃんにかりて、わざわざ学校へ持って来たのですが、今、窓ガラスのお友だちの指のあとと、一つ一つ見くらべますと、北村君の残して行った、右の親指のうずまきが、筆入のふたの裏のうずまきと、寸分ちがわないことがわかったのです。