甲野さんはただ一人この杉の下を通る。
右よりし左よりして、行く人を両手に遮ぎる杉の根は、土を穿ち石を裂いて深く地磐に食い入るのみか、余る力に、跳ね返して暗き道を、二寸の高さに段々と横切っている。
登らんとする岩の梯子に、自然の枕木を敷いて、踏み心地よき幾級の階を、山霊の賜と甲野さんは息を切らして上って行く。
甲野さんはただ一人この杉の下を通る。
右よりし左よりして、行く人を両手に遮ぎる杉の根は、土を穿ち石を裂いて深く地磐に食い入るのみか、余る力に、跳ね返して暗き道を、二寸の高さに段々と横切っている。
登らんとする岩の梯子に、自然の枕木を敷いて、踏み心地よき幾級の階を、山霊の賜と甲野さんは息を切らして上って行く。