そんな訳で、私は、このことを逢う人毎に聞かれるのが煩しいばかりでなく、折角身の上話をしても、相手が信用してくれない歯痒さもあるし、それに実を云うと私は、世人が嘗て想像もしなかった様な、あの奇怪事を、――私達の経験した人外境を、この世にはこんな恐ろしい事実もあるのだぞと、ハッキリと人々に告げ知らせ度い慾望もある。
そこで、例の質問をあびせられた時には、「それについては、私の著書に詳しく書いてあります。
どうかこれを読んで御疑いをはらして下さい」と云って、その人の前に差出すことの出来る様な、一冊の書物に、私の経験談を書き上げて見ようと、思立った訳である。