それはどこかのカフェで、その時私達はかけおち者の様な、いやに涙っぽく、やけな気持ちになっていたのだが、私は口馴れぬウィスキイをグラスに三つも重ねるし、初代も甘いカクテルを二杯ばかりもやって、二人共真赤になって、やや正気を失った形で、それ故、大した羞恥を感じることもなく、そのホテルのカウンタアの前に立つことが出来たのであった。
私達は巾の広いベッドを置いた、壁紙にしみのある様な、いやに陰気な部屋に通された。
ボーイが一隅の卓の上に、ドアの鍵と渋茶とを置いて、黙って出て行った時、私達は突然非常な驚きの目を見交わした。