それは、求婚者であったに拘らず、初代の在世中には、一度も木崎家を訪れなかった諸戸道雄が、何故かその日になって、悔みの挨拶に来ているのだった。
彼はよく身に合ったモーニングコートを着て、暫く見ぬ間に、少しやつれた顔をして、どうにも目のやり場がないという様子で、立ちつくしていたが、やっとの思いらしく私に言葉をかけた。
「ア、蓑浦君、しばらく。
それは、求婚者であったに拘らず、初代の在世中には、一度も木崎家を訪れなかった諸戸道雄が、何故かその日になって、悔みの挨拶に来ているのだった。
彼はよく身に合ったモーニングコートを着て、暫く見ぬ間に、少しやつれた顔をして、どうにも目のやり場がないという様子で、立ちつくしていたが、やっとの思いらしく私に言葉をかけた。
「ア、蓑浦君、しばらく。