それから、もう一つ記して置かねばならぬのは、さして意外な事でもないが、深山木を運んで彼の家に這入った時、たださえ乱雑な彼の居間が、まるで嵐のあとみたいに、滅茶苦茶に取散らされているのを発見したことである。
云うまでもなく、曲者が例の「品物」を探す為に、彼の留守宅へ忍込んだものに相違なかった。
無論私は検事の詳細な取調べを受けたが、その時私は凡ての事情を正直に打開けたけれども、虫が知らせたとでも云うのか(この意味は後に読者に明かになるであろう)深山木が脅迫状に記された「品物」を私に送ったことだけは、態と黙って置いた。