先に記した通り、諸戸の邸は仲々遠く、駅から半里もあったが、私は丁度その中程までたどりついた頃、行手に当って、不思議な形のものが歩いているのを気附いた。
脊の高さは常人の半分位しかなくて、横幅は常人以上にも広い一人物が、全身をエッチラオッチラ左右に振り動かしながら、そして、その度に或は右に或は左に、張子の虎の様に、彼の異常に低い所についている頭をチラチラと見せながら、難儀相に歩いて行くのである。
と云っては一寸法師の様に思われるが、それは一寸法師ではなく、上半身が、腰の所から四十五度の角度で曲っている為に、うしろからは、そんな脊の低いものに見えたのだ。