それはずっと前に、誰かから聞いた話なんですが、牢破りの名人と云うものがあって、頭だけ出し入れする隙間さえあれば、身体を色々に曲げて、無論それには特別の秘術があるらしいのだが、とも角もその穴から全身抜け出すことが出来るのだ相です。
そんなことが出来るものとすれば、この花瓶の口は、十歳の子供の頭よりは大きいのだし、中の容積も充分あるのだから、ある種の子供にはこの中へ隠れてしまうことも、全く不可能ではあるまいと考えた。
では、どんな種類の子供にそれが出来るかと云うと、直ちに聯想するのは、小さい時から毎日酢を飲ませられて、身体の節々が、水母みたいに自由自在になっている、軽業師の子供です。