(十歳やそこいらの子供の、チョコレートに引かされての自白などは、警察ではまるで問題にしなかった)つまり、警察は警察自身の解釈によって、この事件の犯人を探したらしいのだが、併し、結局これという容疑者さえもあがらず、そのままに一日一日と日がたって行くのであった。
曲馬団からは、損害賠償という様な意味で、多額の香奠をまき上げられるし、警察からはひどく叱られた上に、探偵狂扱いにされるし、諸戸はこの事件にかかり合ったばっかりに、散々な目に会わされたのであるが、併し、彼はその為に元気を失う様なことはなく、却って一層熱心を増したかに見えた。
のみならず警察が幻想的な諸戸の説を信じなかったと同じ程度に、諸戸の方でもかかる事件に対しては余りにも実際的過ぎる警察の人々を度外視しているらしく思われた。