平床に据えた古薩摩の香炉に、いつ焼き残したる煙の迹か、こぼれた灰の、灰のままに崩れもせず、藤尾の部屋は昨日も今日も静かである。
敷き棄てた八反の座布団に、主を待つ間の温気は、軽く払う春風に、ひっそり閑と吹かれている。
小野さんは黙然と香炉を見て、また黙然と布団を見た。
平床に据えた古薩摩の香炉に、いつ焼き残したる煙の迹か、こぼれた灰の、灰のままに崩れもせず、藤尾の部屋は昨日も今日も静かである。
敷き棄てた八反の座布団に、主を待つ間の温気は、軽く払う春風に、ひっそり閑と吹かれている。
小野さんは黙然と香炉を見て、また黙然と布団を見た。