この雑記帳を読み終った時、私達(諸戸道雄と私と)は、暫く言葉もなく、顔を見合わせていた。
私は俗に暹羅の兄弟と云われる、奇妙な双生児の話を聞いていないではなかった。
暹羅兄弟と云うのは、シャン、エンという名前で、両方共男で、剣状軟骨部癒合双体と名付ける畸形双生児であったが、そうした畸形児は、多くの場合死んで生れるか、出生後間もなく死亡するものであるのに、シャン、エンはその不思議な身体で六十三歳まで長命し、両方とも別々の女と結婚して、驚いたことには二十二人の完全な小児の父となったと云うことである。