当時欧州大戦がすんだばかりで、滅茶苦茶になった負傷兵を、皮膚や骨の移殖によって、完全な人間にしたとか、頭蓋骨を切開して、脳髄の手術をしたり、脳髄の一部分の入替えにさえ成功したという様な、外科学上の驚くべき報告が盛んに伝えられた時分で、僕にもその方面の研究をしろという命令なのだ。
これは両親が不幸な不具者である所から、一層痛切にその必要を感じる訳で、例えば手や足のない片輪者には、義手義足の代りに、本物の手足を移殖して、完全な人間にすることも出来るという様な、素人考えも混っていたのだ。
別段悪いことでもないし、若しそれを拒絶したら学資が途絶えるので、僕は何の考えもなくこの申出を承諾した。