諸戸は私を「冷静な局外者」と云ったが、どうしてどうして冷静どころではなかった。
神経の弱い私は、寧ろ諸戸よりも昂奮していた位である。
私は諸戸の異様な告白を聞いている内に、一方では彼に同情しながらも、段々と正体を現わして来た初代の敵に、暫らく余事にまぎれて忘れていた恋人の痛ましい最後をまざまざと思い浮べ世界中でたった一つのものを奪われた恨みが、焔となって心中に渦巻いていた。
諸戸は私を「冷静な局外者」と云ったが、どうしてどうして冷静どころではなかった。
神経の弱い私は、寧ろ諸戸よりも昂奮していた位である。
私は諸戸の異様な告白を聞いている内に、一方では彼に同情しながらも、段々と正体を現わして来た初代の敵に、暫らく余事にまぎれて忘れていた恋人の痛ましい最後をまざまざと思い浮べ世界中でたった一つのものを奪われた恨みが、焔となって心中に渦巻いていた。