私は諸戸の異様な告白を聞いている内に、一方では彼に同情しながらも、段々と正体を現わして来た初代の敵に、暫らく余事にまぎれて忘れていた恋人の痛ましい最後をまざまざと思い浮べ世界中でたった一つのものを奪われた恨みが、焔となって心中に渦巻いていた。
私は初代の骨上げの日、焼き場の側の野原で、初代の灰を啖い、ころげ廻って、復讐を誓ったことを、まだ忘れてはいなかった。
若し諸戸の推察通り、彼の父親が、真犯人であったとしたら私は、私が味った丈けの、身も世もあらぬ歎きを、彼奴にも味わせた上で、彼奴の肉を啖い、骨をえぐらねば気が済まなんだ。