その間に一箇所、断崖の裾が、海水の為に浸蝕されて出来たものであろう、真暗な奥行きの知れぬ洞穴になっている所があった。
舟は洞穴の半町ばかり沖を進んでいたのだが、老漁夫は、それを指差して、こんなことを云った。
「この辺の者は、あの洞穴の所を、魔の淵と云いますがのんし、昔からちょいちょい人が呑まれるので、何やらの祟りや云うてのんし、漁師共が恐れて近寄りませんのじゃ」
その間に一箇所、断崖の裾が、海水の為に浸蝕されて出来たものであろう、真暗な奥行きの知れぬ洞穴になっている所があった。
舟は洞穴の半町ばかり沖を進んでいたのだが、老漁夫は、それを指差して、こんなことを云った。
「この辺の者は、あの洞穴の所を、魔の淵と云いますがのんし、昔からちょいちょい人が呑まれるので、何やらの祟りや云うてのんし、漁師共が恐れて近寄りませんのじゃ」