くずれた土塀、朽ちた門、それを這入ると、境もなくてすぐ裏庭が見えているのだが、不思議千万なことには、その庭が、まるで耕した様に、一面に掘り返されて、少しばかりの樹木も、あるものは倒れ、あるものは根こそぎにして放り出してあるといった塩梅で、目も当てられぬ乱脈であった。
それが屋敷全体の感じを、実際以上に荒れすさんだものに見せていた。
怪物の真黒な口みたいに見える玄関に立って、案内を乞うと、暫くは何のいらえもなかったが、再三声をかけている内に、奥の方から、ヨタヨタと一人の老婆が出て来た。
くずれた土塀、朽ちた門、それを這入ると、境もなくてすぐ裏庭が見えているのだが、不思議千万なことには、その庭が、まるで耕した様に、一面に掘り返されて、少しばかりの樹木も、あるものは倒れ、あるものは根こそぎにして放り出してあるといった塩梅で、目も当てられぬ乱脈であった。
それが屋敷全体の感じを、実際以上に荒れすさんだものに見せていた。
怪物の真黒な口みたいに見える玄関に立って、案内を乞うと、暫くは何のいらえもなかったが、再三声をかけている内に、奥の方から、ヨタヨタと一人の老婆が出て来た。