そして、朝になったら早速番頭や女中に持主の心当たりを尋ねて見ましょう」
そういい残して、河野が彼の部屋へ引取ったのは、もう殆ど夜あけに近い頃でした。
私としては、無論一切の探索を河野に任せて、ただその結果を聞けばいいのですから、彼が新しい報告を齎すまで、僅の時間でも寐て置こうと、話に夢中になって、寝衣のままふとんの上に坐っていたのを、元の様に枕について見ましたが、どうして一旦興奮してしまった頭は、睡ろうとすればするほど、冴え返って、その内にあたりは段々明るくなる、階下では女中共の掃除の音が聞え出す、とても寐られたものではありません。