山里のことですから、宿の外には燈火の洩れる家とてもなく、まっくらな街道には、人影もありません。
遠くの方から、村の青年が吹き鳴しているのでしょう、下手な追分節の尺八が、それでも何とやら物悲しく、風の音にまじって聞えて来ます。
私はその往還に佇んで、暫く森の方を眺めていましたが、そうして離れて見れば、怪物の様な巨木達が、風のために波打っている有様は、一層物凄く、ますます私に里心を起させるばかりで、さっきの異様の人物は、いつまで待っても出て来る様子がありません。
山里のことですから、宿の外には燈火の洩れる家とてもなく、まっくらな街道には、人影もありません。
遠くの方から、村の青年が吹き鳴しているのでしょう、下手な追分節の尺八が、それでも何とやら物悲しく、風の音にまじって聞えて来ます。
私はその往還に佇んで、暫く森の方を眺めていましたが、そうして離れて見れば、怪物の様な巨木達が、風のために波打っている有様は、一層物凄く、ますます私に里心を起させるばかりで、さっきの異様の人物は、いつまで待っても出て来る様子がありません。