十分もそうしていたでしょうか、もういよいよ駄目だとあきらめて、あきらめながら、でも何となく残り惜く、この間にもう一度河野の部屋を尋ねて、もし彼がいたら一緒に森の中を探して見ようと、大急ぎで、息せき切って宿の玄関へ駈込み、下駄を脱ぐのももどかしく、廊下を辷り彼の部屋に達するといきなりガラリと襖を開きました。
二十六
「ヤア、お入りなさい」
十分もそうしていたでしょうか、もういよいよ駄目だとあきらめて、あきらめながら、でも何となく残り惜く、この間にもう一度河野の部屋を尋ねて、もし彼がいたら一緒に森の中を探して見ようと、大急ぎで、息せき切って宿の玄関へ駈込み、下駄を脱ぐのももどかしく、廊下を辷り彼の部屋に達するといきなりガラリと襖を開きました。
二十六
「ヤア、お入りなさい」