河野は毎日どこかへ出かけているらしく、いつ訪ねても部屋にいないので、その私を除外した態度に反感を持ったのと、一つは例の失策が面はゆくて、私はこれまでの様に、素人探偵を気どる気にもなれませんでした。
が、そうかといって、この好奇的な事件を見捨て、宿を出発するのも残念だものですから、もう少し待てという河野の言葉を当てにして、やっぱり逗留を続けていました。
一方警察の方では、先にもいった、大仕掛けなトランク捜索の仕事を初め、森の中、湖水の岸と洩れなく探し廻ったのですが、結局何の得る所もない様子でした。