そして、一層おかしいのは、非常に巧にさりげない風を装ってはいますけれど、私には彼の目が(というよりも彼の心そのものが)頭の上の網棚にのせた古鞄に、恐しい力で惹きつけられていることが分ります。
それは実際奇妙な変化でした。
湖畔亭での十数日、当の犯罪事件に関係している間には、曾てその様な疑いの片鱗さえも感じなかった私が、今事件が兎も角も解決して、帰京しようという汽車の中で、ふと変な気持になったのです。
そして、一層おかしいのは、非常に巧にさりげない風を装ってはいますけれど、私には彼の目が(というよりも彼の心そのものが)頭の上の網棚にのせた古鞄に、恐しい力で惹きつけられていることが分ります。
それは実際奇妙な変化でした。
湖畔亭での十数日、当の犯罪事件に関係している間には、曾てその様な疑いの片鱗さえも感じなかった私が、今事件が兎も角も解決して、帰京しようという汽車の中で、ふと変な気持になったのです。