註文の酒肴を運んで、女中が立去ると、河野は非常にいいにく相に、もじもじして、てれ隠しに私に酒をすすめなどしていましたが、やがて、青ざめた頬の筋肉を、ピリピリと痙攣させながら、思い切った体で初めました。
「君は僕の鞄の中のものを見ましたか」
そういって彼にじっと見つめられますと、何の恐れる所もない筈の私までが、多分まっ青になっていたことでしょう、動悸が早くなって、腋の下からタラタラと冷いものの流れるのを感じました。
註文の酒肴を運んで、女中が立去ると、河野は非常にいいにく相に、もじもじして、てれ隠しに私に酒をすすめなどしていましたが、やがて、青ざめた頬の筋肉を、ピリピリと痙攣させながら、思い切った体で初めました。
「君は僕の鞄の中のものを見ましたか」
そういって彼にじっと見つめられますと、何の恐れる所もない筈の私までが、多分まっ青になっていたことでしょう、動悸が早くなって、腋の下からタラタラと冷いものの流れるのを感じました。