そして、恐らく君もそうだったのでしょうが、僕はあの夢の様な無気味な影像に、一種異様の魅力を感じたのです。
そればかりか、もしあの水底の様に淀んだ鏡の面に、何かこう血腥い光景が、例えば豊満な裸女の肩先へ、ドキドキ光る短刀がつきささって、そこから真赤な血のりが流れ出す光景などが、映ったならば、どんなに美しいだろう、という様な空想さえ描いたのでした。
いうまでもなく、それはほんの気まぐれな思いつきに過ぎないもので、さっきいったもう一つの突発事件がなかったなら、それを僕自から実演しようなどとは思いも寄らぬことでした。