戸山医学博士の鑑定によれば切断後三日位の二十歳前後の健康体の婦人の右足を膝関節の部分から切断したもので切口の乱暴なところを見れば外科医等の切断したものでないことが判明したが附近には右に該当する殺人事件又は婦人の失踪届出なく今のところ何者の死体なるや不明であるが、――署では極めて巧妙に行われた殺人事件ではないかと目下厳重調査中である。
新聞では左程重大に扱っている訳でもなく、文句も極簡単なものであったが、紋三の眼にはその記事がメラメラと燃えている様に感じられた。
彼は蒲団の上にムックリと起き上って、ほとんど無意識のうちに、同じ記事を五度も六度もくり返し読んでいた。