男はステッキを力に、足を引きずる様にして、存外早く歩いた。
彼は物もいわず、うしろを振りむきさえしなかったけれど、夫人はそのあとについて行く外はなかった。
それから又細い通りを幾度も曲って、三町ばかりも歩くと、おそろいの小さな門のついた、官吏の住宅とでもいった感じの借家が、ずっと軒を並べている町へ出た。
男はステッキを力に、足を引きずる様にして、存外早く歩いた。
彼は物もいわず、うしろを振りむきさえしなかったけれど、夫人はそのあとについて行く外はなかった。
それから又細い通りを幾度も曲って、三町ばかりも歩くと、おそろいの小さな門のついた、官吏の住宅とでもいった感じの借家が、ずっと軒を並べている町へ出た。