蝙蝠みたいに路地の板塀に身体をくっつけて、薄暗い往来を見ていると、時たま灰色の影の様なものがスーッと通り過ぎた。
それが人間に違いないのだけれど、少しも音を立てないので、何か物の怪という感じがした。
彼は山野夫人が二階に上った気勢を感じたので、もしや話し声でも漏れて来ないかと、その方を見上げて耳をすましたが、密閉された雨戸の中はひっそりとして、燈火の影さえささなかった。
蝙蝠みたいに路地の板塀に身体をくっつけて、薄暗い往来を見ていると、時たま灰色の影の様なものがスーッと通り過ぎた。
それが人間に違いないのだけれど、少しも音を立てないので、何か物の怪という感じがした。
彼は山野夫人が二階に上った気勢を感じたので、もしや話し声でも漏れて来ないかと、その方を見上げて耳をすましたが、密閉された雨戸の中はひっそりとして、燈火の影さえささなかった。