彼は山野夫人が二階に上った気勢を感じたので、もしや話し声でも漏れて来ないかと、その方を見上げて耳をすましたが、密閉された雨戸の中はひっそりとして、燈火の影さえささなかった。
ふと何か聞えた様に思って、耳をそばだてると、遠くの方から力ない赤ん坊の泣き声が聞えて来たりした。
紋三はこの数日、長い間の倦怠をのがれて、可なり緊張した気持を味うことが出来た。
彼は山野夫人が二階に上った気勢を感じたので、もしや話し声でも漏れて来ないかと、その方を見上げて耳をすましたが、密閉された雨戸の中はひっそりとして、燈火の影さえささなかった。
ふと何か聞えた様に思って、耳をそばだてると、遠くの方から力ない赤ん坊の泣き声が聞えて来たりした。
紋三はこの数日、長い間の倦怠をのがれて、可なり緊張した気持を味うことが出来た。