彼は歩きながらも、電車に乗ってからも、明智に見せてもらった証拠品と、次々に現れて来た疑わしい人物のことで頭が一杯だった。
「あの中で、化粧品と吸取紙は三千子さんの指紋を確めるだけのものだから別として、椅子のクッションから出た手紙によって北島春雄を疑えば疑い得る外には、ヘヤーピンにしろ、石膏像にしろ、ショールにしろ、手提にしろ、フェルト草履にしろ、ことごとく山野夫人に不利な証拠ばかりだ。
その上夫人は怪しい手紙を七輪にくべたり、不思議な男と密会したりしている。
彼は歩きながらも、電車に乗ってからも、明智に見せてもらった証拠品と、次々に現れて来た疑わしい人物のことで頭が一杯だった。
「あの中で、化粧品と吸取紙は三千子さんの指紋を確めるだけのものだから別として、椅子のクッションから出た手紙によって北島春雄を疑えば疑い得る外には、ヘヤーピンにしろ、石膏像にしろ、ショールにしろ、手提にしろ、フェルト草履にしろ、ことごとく山野夫人に不利な証拠ばかりだ。
その上夫人は怪しい手紙を七輪にくべたり、不思議な男と密会したりしている。