普通の不商屋の張出になった格子窓の一部を小さなショーウインドウに改造して、そのガラス張りの中に、三つ四つ大きな人形の首が並べてある。
目を金色に塗った赤鬼の首だとか、生きている様にこちらを向いて笑いかけている大黒様の顔だとか、すごい様な美人の青ざめた首だとか、それが薄ぼんやりした五燭程の電燈に照されて、塵だらけのガラスの中に、骨董品の様に並んでいるのだ。
外の商家ではすっかり戸を締切って、軒燈の外には何の光も漏れていないのに、このみすぼらしいショーウインドウだけが、戸もないのか、路上に夢の様な光の縞を投ているのが、一層物凄い感じを与えた。