そのまま怪物の姿は庭の奥の暗の中へ消えてしまった。
表に取り残された背広の男は、戸の隙間から家の内部を覗いたり、ぐるっと町を廻ってその家の裏手を調べて見たり、方々の標札を覗き廻って町名番地を確め手帳に控えたり、殆ど二時間許りの間、執念深くその辺をうろついていたが、やがて東が白む頃、やっと断念したものか、疲れた足を引ずって元来た道を引返した。
吾妻橋を渡ると、彼はふと気がついた様にそこの自働電話に入り、一寸手帳を見て赤坂の菊水旅館の番号を呼んだ。
そのまま怪物の姿は庭の奥の暗の中へ消えてしまった。
表に取り残された背広の男は、戸の隙間から家の内部を覗いたり、ぐるっと町を廻ってその家の裏手を調べて見たり、方々の標札を覗き廻って町名番地を確め手帳に控えたり、殆ど二時間許りの間、執念深くその辺をうろついていたが、やがて東が白む頃、やっと断念したものか、疲れた足を引ずって元来た道を引返した。
吾妻橋を渡ると、彼はふと気がついた様にそこの自働電話に入り、一寸手帳を見て赤坂の菊水旅館の番号を呼んだ。