紋三は押入の向側に山野夫人を想像すると、身体がしびれる程気がかりだった。
どうか帰ったあとであってくれればいいと祈る一方では、あの醜い一寸法師と並べて、夫人の取乱した様子を見てやりたいという、うずく様な気持もあった。
部屋の方からは暫くは何の物音も聞えて来なかったが、やがてピッシャリと障子をしめる音がして「百合枝さん、だれかに感づかれる様なことはしまいね」男の太い皺嗄声が聞えた。
紋三は押入の向側に山野夫人を想像すると、身体がしびれる程気がかりだった。
どうか帰ったあとであってくれればいいと祈る一方では、あの醜い一寸法師と並べて、夫人の取乱した様子を見てやりたいという、うずく様な気持もあった。
部屋の方からは暫くは何の物音も聞えて来なかったが、やがてピッシャリと障子をしめる音がして「百合枝さん、だれかに感づかれる様なことはしまいね」男の太い皺嗄声が聞えた。