第一は養源寺の和尚即ち例の不具者ですが、これはもっとも兇悪無慙の気違いには相違ないけれど、彼が三千子の手足を公衆の前にさらしたこととか、山野夫人を脅迫したことなどから考えて、直接の犯人でないことは明白です。
第二は山野夫人です。
この人は三千子の継母である上に、ここにあるショールその他の三千子の持物が、彼女の部屋の押入に隠されていたり、不具者の脅迫に応じたりして、もっとも深い疑いをかけられていましたけれど、私はあとでお話する別の人物を疑っていたために、小林君の様に性急に断定することをしなかった訳です。