やつら一人もきちゃあいねえ」
団十郎の銅像のあたりから、池の端まで歩いてみて、親方は感心したように呟いたものだ。
ふだんなれば、映画館がハネてしばらくすると、浅草界隈の犬持ちどもが、朱や紫の房のついた紐を、自慢そうに肩にかけ、獰猛な和洋さまざまの犬どもを引きつれて、運動にやってきているのだが、今夜は一匹の犬の影さえも見えぬ。
やつら一人もきちゃあいねえ」
団十郎の銅像のあたりから、池の端まで歩いてみて、親方は感心したように呟いたものだ。
ふだんなれば、映画館がハネてしばらくすると、浅草界隈の犬持ちどもが、朱や紫の房のついた紐を、自慢そうに肩にかけ、獰猛な和洋さまざまの犬どもを引きつれて、運動にやってきているのだが、今夜は一匹の犬の影さえも見えぬ。