そして、半ば狂せるがごとき彼女は、泣き悲しむかわりに、一そう、神ががりのようになって、銀髪を逆立て、眼を血走らせながら、例の仏間に駈け込んで、わけのわからぬ経文を高々と読誦しはじめるのであった。
あらためて屋敷内外の大捜索が開始された。
前に物置きに一郎が倒れていた例もあるので、部屋という部屋は、残らず、隅々までも探しまわり、三階の円塔の内部はいうまでもなく、母家の縁の下まで調べ、広い庭園も草を分けるようにして捜索したが、二人の姿はもちろん、足跡その他手掛りになるようなものは何も発見されなかった。